「了照寺だより」第26の1号(通算第301号・平成16年1月1日発行)より抜



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「闇」の中から「光」の中
人生苦からの脱出は可能だ! 

IT(情報)社会われています。

確かに地球の裏側の出来事も、

瞬時に映像をともなって伝えられてきます。

   
しかし、皮肉なことに一番近い存在の同じ屋根の下に住んでいる

家族たちの間で、しっかりとコミュニケーションができているかと

いえば、どうもできていないように思うのです。

それを証明するかのように、家庭内暴力・

幼児虐待(ようじぎゃくたい)一家心中

・夫婦無理心中など家庭内での事件が多発しています。

さらにその余波として

家庭内の不満を社会に向けて八つ当たりして、

何の恨みも憎しみもない人たちに対し、通り魔・ひったくり・

誘拐などの事件を起こして社会の治安の悪化にも

(つな)がっているのです。
         
また、飲酒運転の罰則が厳しくなったお陰で

交通事故の年間死者数は

8000人を下回るくらい激減したのに対し、

自殺者数は5年連続して3万人を超えています。

実に交通事故死者の約4倍で一日当たり

約90人が亡くなっているのです。非常に多いのに驚きます。

 しかも、病気を苦にして自殺する高齢者も多いのですが、

インターネットを介して集団自殺する若者も相次いでいます。
人生の途上では、誰でも何度か苦しみや悲しみに出会い、

それから逃げるために死の誘惑に駆られます。 

誰もこの苦しみをわかってくれないと、

孤独感(こどくかん)に押しつぶされそうになります。

今日では「うつ病」という病名までありますが、

おそらくお釈迦(しゃか)さまも

親鸞聖人(しんらんしょうにん)も、

ある時期にその病気を患っておられたに違いありません。

 人生苦から脱出する道はあるのです

「苦悩」の世界から「歓喜」の世界へ、
 
「闇黒」の世界から「光明」の世界へ

と脱出した人に学びましょう。

 お釈迦さまは、自分が生まれると同時に

お母さんを亡くしました。

おそらく自分の生が母の死を招いたとずっと悩み続けられ、

出家への道を選ばれたのでしょう。

生まれた者は、やがて年老いていき、病み、

死んでいかねばならないと、

無常感(むじょうかん)に打ちのめされたけれども、

それらの苦しみの原因
   
無知(無明<むみょう>)にあることを悟られました。

何に対する無知だったのでしょう。
           
それは「すべてのものは因縁生起(いんねんしょうき)している」

   つまり、「すべては繋がり関係し合っている」

「自分の力でたった一つで存在しているものはいない」と
               
いうことに対する無知であったと覚められ、

「苦悩」から解放されたのです。 
 
そうです。私たちは「一人ぼっち」ではないのです。

互いに苦しみと幸せを分かち合うことこそ、

真実の「歓喜」と「光明」の世界に生きられるのです。


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